メリットとデメリット

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住宅に使われるレンガは、どんなもの?

レンガには、主に3種類あります。①低温で焼いたレンガ ②中高温で焼いたレンガ ③高温で焼いたレンガです。①の800℃で焼かれたレンガは、粘りが強く水分が含みやすいためコケやカビなどが発生しやすいです。②の1150℃前後で焼かれたレンガは、表面がセラミック化され水分を弾き粘りも残るため住宅などの建築資材として多く使われています。③は1350度以上で焼かれ全体がセラミック化され固く割れやすいので住宅には使われません。

レンガの色や種類は?

日本向けの住宅に使われるレンガは、主にオーストラリア、マレーシア、中国、日本などで作られています。色や表面の加工の違いなど多くの種類があります。白、黒、茶、赤、オレンジ、黄色、グレーなどの色があり、表面のデザインもアンティーク風からタイル風まで用意されています。価格が安いのは、加工工程が少ないものですから、粘土を型から押し出してそのまま焼いたものになります。私が特に気に入っている広島レンガは、あえて焼成後に砂をかけザラザラとした質感と見た目が特徴です。どのレンガもそれぞれ特徴がありますが、重厚感のある印象的な外壁は本物の積みレンガならではだと思います。価格差は種類により100円~250円/個の幅があります。

積みレンガと張りレンガの違いは?

レンガ造りの家と言っても主流は、レンガ張りの家です。レンガを張るためのサイディングを張った後、レンガをはめ込んでいきます。そのため張りレンガは、その重量がそのまま住宅の構造部で支えるため建物にストレスを与えます。対して積みレンガは、コンクリート基礎に直接積み上げていくので構造部に一切負担はかけてないため、ストレスを与えません。

震度7の地震でも大丈夫?

レンガ積みの工法は、許容応力度計算(構造計算)をした外壁レンガ積み工法です。ステンレスの縦筋455㎜ピッチと3段毎に横筋を増やし、縦筋+横筋をレンガに通しモルタルを詰めながら積み上げていくので地震によって崩れ落ちることはありません。
つくばの実験場で実物大のレンガ積みの家による耐震実験でも問題ないことが確認されています。さらに熊本地震や東日本大地震でも1棟も倒壊やレンガ外壁が崩れておりません。

メンテナンスがいらないの?

レンガ外壁は、塗装で持たせている住宅と違って削っても削ってもレンガですので塗替えは一切必要ありません。住宅用レンガは、汚れないので長期に渡ってきれいなままの状態を保つのも特徴です。20年以上経過したレンガ積みの家の外壁は、新築時と大差ないほど、きれいに保っています。鉄筋もステンレスを使っているので錆びにくいです。ただし、レンガ外壁以外の軒下、窓周りのコーキングなどはメンテナンスが必要になる部分ですので、耐久性の高いものを使うことによってメンテナンスを極端に減らすことができます。

表面がセラミック化したレンガの外壁は、15年経っても汚れづらく、新築時のような状態を保ちます。

画像をダウンロードすることで、
新築時と約15年後でも変わらないレンガ外壁を
比べることが出来ます。

レンガの耐久性はどれくらい?

中高温で焼いた住宅用のレンガは、歴史が古く数百年前の建物が現存しているため、100年とも200年とも言われています。日干し煉瓦(れんが)は紀元前のメソポタミヤ文明のものが現存していますし、ロンドンでは300年以上前の建物が使用されています。日本でも、東京駅をはじめとする裁判所や銀行など明治から大正時代に建てられたものが残っています。

東京駅

万が一レンガが割れてしまったときは?

割れてしまった場合は、割れたレンガだけを交換することになります。その時鉄筋を切ってしまわないように慎重に割れたレンガを外さなければいけません。新しく入れ替えるレンガも鉄筋に通さなければならないので、鉄筋にあたる場所をサンダーで切り込みを入れモルタルを詰めてから補修していきます。この時上のレンガが重さで下がる心配があるときは、仮設で養生しながら行います。

木造レンガ積みは、どんな工法?

現代のレンガ積みの家の工法のほとんどは、木造在来工法もしくは2×4工法です。そして、柱や壁から3センチ外側にレンガを積み上げていきます。3センチ空ける理由は、通気を取るためです。縦筋+横筋は200㎡ほどの外壁面積に約2000か所、構造躯体にタイバンドでビス留めしていきます。

レンガの中にステンレスの縦筋と横筋を通し、レンガを躯体から3センチ離したところでタイバンドで留めていきます。

レンガ積みの家は風に強いの?

レンガ外壁は基礎から鉄筋で頑丈に連結されているために、台風や突風に対して非常に強い外壁となります。張りレンガの場合は、構造の柱や梁に直接荷重しているため風圧が建物に直接的にかかるため柱や梁にも風の力がもろに影響します。レンガ積みの場合は、構造躯体とレンガ外壁の間に3センチの隙間があり数ミリ動けるようになっているので、構造躯体に風圧が直接かかることがありません。

レンガは防音性能に優れている?

防音業界では「質量則」と呼ばれる法則があります。 単位面積あたりの質量が大きいほど(=重いほど)、音響透過損失が大きくなる(=遮音性能が高くなる)という法則です。 一般住宅1棟全体の重量は坪当たり1tと言われていますが、レンガ積みの家の外壁面積200㎡だけでも30tにもなります。レンガ積み外壁とサイディングの重さの差は約10倍重いので、それだけ防音性能に優れています。ただし、換気扇や窓から出入りする音は、一般住宅と変わりありません。

レンガだから火災に強い?

隣家からのもらい火には、レンガ外壁は非常に強くレンガが延焼することはありません。延焼するとしたら軒天が考えられます。窓ガラスも数百度までは耐えるでしょうけれど、樹脂サッシだと溶けてしまうと思います。2016年12月に発生した糸魚川市大火災。120棟を全焼させた大火災は、30時間にも及ぶ凄まじいものでした。その中で、一棟だけ大火災に耐えた家がありました。外壁はレンガとステンレス。屋根は洋瓦とステンレス。窓はワイヤーの入った二重ガラスといった仕様でした。エアコンの室外機や窓ガラスのヒビなどの最小限の被害はあったようですが、室内は無傷であったので、すぐに住むことができたそうです。

産経新聞より引用

レンガ積みの家は断熱性能が高い?

外壁レンガの厚みは7センチです。その7センチの外側から800度のバーナーで30分間炙り続けた実験では、住宅の内部の壁の温度に変化はありませんでした。真夏の日照実験でも西側の壁が50℃以上になった時の室内壁温度は、20℃のままでした。外気に影響されづらいレンガ外壁ですが、高断熱住宅の温熱計算では、通気層の外側のレンガ外壁は入れないので断熱性能数値化するときには加味されていません。体感では感じるのですが。

レンガ積みの家を建てるときの注意点は?

レンガ外壁は、横筋+縦筋が45㎝×25㎝に網の目で入っています。ですので、エアコンの穴や電線などの穴開けは、積みながら開けていきます。完成した後外壁に穴を開けるのは鉄筋を切る可能性があるので推奨できません。新築時に綿密な打ち合わせをして、予備の穴を開けておくことをお勧めします。(例えば、子供が大きくなったら子供部屋にエアコンをつけるだろうとか、将来太陽光を乗せる可能性がある場合など)

レンガの家と相性の良いスタイルって?

レンガ積みの家は、基礎から積み上げていくので家の周り全部をレンガで囲わなくてはなりません。デザイン的には四角の総二階がもっとも適しています。1階が大きくて2階が小さいデザインですと1階の屋根の上からレンガを積まなければいけなくなるので、この場合は下屋の上は積まずに張りにするか、構造柱にL型の鋼材を打ち込んでレンガ積みにするといった工法になります。多くの実績はあるのですが、レンガ積みの家の良さを出すには、総2階建をお勧めします。

レンガ積みの間取りは総2階がおすすめ。最近ではバルコニーのない間取りも人気です。

リフォームでもレンガ積み外壁にできるの?

リフォームでレンガ外壁にする場合は住宅の形によりますが、総2階や平屋なら可能です。複雑な形の家の場合、現地調査をしてからの回答になります。地盤が柔らかいと外壁だけ沈んでしまう可能性があるので、地盤調査を行い、地耐力を確認して必要なら地盤改良をし、レンガを積むための基礎を作るところから始めます。既存のエアコンのダクトや雨どいなど外壁についているものは、積みながら付け替えていきます。

レンガ積みの家のデメリットは?

一番のデメリットは、コスト面です。一般的なサイディングと比べると建築時に約300万円高くなります。本物のレンガを積める職人が日本に少ないのもデメリットと言えるでしょう。また、レンガ外壁を壊して積み替えとなる工事は難しいため、将来的に増築をしたいなどのご希望に添えない可能性があります。